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中原中也「秋日狂乱」

今回は中原中也の秋日狂乱を朗読しました。
出勤のない詩人ならではの視点なのでしょうか?
渦巻く心をいったん全て手放して、糖分を摂る🍓これって生きてゆく上で重要だと思っています。
テキスト/青空文庫(青空文庫、耕作員の皆様に心より感謝し使用させていただきます)
声/動画作成/サムネ作成/こいでともか
※挿入曲は「YouTubeオーディオライブラリー」より、毎回全て自分で選曲し、楽曲を無償提供してくださるアーティストの皆様に心より感謝し使用させていただいております。
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小出朋加のナレーション・朗読ブログです♪
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「秋日狂乱」
僕にはもはや何もないのだ
僕は空手空拳だ
おまけにそれを嘆きもしない
僕はいよいよの無一物だ
それにしても今日は好いお天気で
さつきから沢山の飛行機が飛んでゐる
――欧羅巴は戦争を起すのか起さないのか
誰がそんなこと分るものか
今日はほんとに好いお天気で
空の青も涙にうるんでゐる
ポプラがヒラヒラヒラヒラしてゐて
子供等は先刻昇天した
もはや地上には日向ぼつこをしてゐる
月給取の妻君とデーデー屋さん以外にゐない
デーデー屋さんの叩く鼓の音が
明るい廃墟を唯独りで讃美し廻つてゐる
あゝ、誰か来て僕を助けて呉れ
ヂオゲネスの頃には小鳥くらゐ啼いたらうが
けふびは雀も啼いてはをらぬ
地上に落ちた物影でさへ、はや余りに淡い!
――さるにても田舎のお嬢さんは何処どこに去つたか
その紫の押花はもうにじまないのか
草の上には陽は照らぬのか
昇天の幻想だにもはやないのか?
僕は何を云つてゐるのか
如何る錯乱に掠められてゐるのか
蝶々はどつちへとんでいつたか
今は春でなくて、秋であつたか
ではあゝ、濃いシロップでも飲まう
冷たくして、太いストローで飲まう
とろとろと、脇見もしないで飲まう
何にも、何にも、求めまい!……

詩人。17歳頃から詩作を始め、詩人・高橋新吉の作品の影響を受けて一時ダダに傾倒。
その後は、フランス象徴詩の影響下に詩作を続けた。
37年10月22日、結核性脳膜炎がもとで急死。
#中原中也 #中原中也秋日狂乱 #朗読睡眠

by tomoka-koide | 2020-10-02 17:17 | 中原中也